かつて我々は文字の民だった
- 2015年12月29日
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「長年、女子サッカーを牽引してきた澤選手の引退を聞き~」
こんな書き出しで始まる手紙を頂きました。
差出人は、メールは「出来へん」と断じる関西在のH様。
お目見え当初より手紙でのやりとりをしておりますが、毎度毎度
個性に富んだ前文で始まる手紙は、もはや仕事を超えて筆者の楽しみと
成っております。
御年70のこの御仁、手垢にまみれたワードの挨拶文例を使うわけでも
なく、ましてや、なんでもかんでも「お世話になっております」で
始まる無粋で無神経な似非ビジネス文など決してよこさない。
そういえば、学生時分のライティング・クラスではこう云われたものです。
「ペーパーは相手に読んでもらうもの。君のマスターベーションではない。」
例えはともかく、数百の駄文を「読まなきゃならない」教授からすれば、
当然の要求だったかも知れません。
教授殿によれば、書き出しは云わば顔部分。 (無精)ヒゲ面だったり、
息が臭い輩の話なんぞ誰も聞きたくはないのと同様に、序章にclicheを
見出した時点で、読む気は「完全に失せる」そう。
事実、提出一週間後のリライト命令はこのクラスの風物詩でした。
※cliche 仏 決まり文句 陳腐な表現
この説に従うと、時候に触れるなど一定の紋切りで始まる日本風の手紙は、
季節感が薄くなった今、昔ほど「読欲」をそそられるものではないかも
知れません。
知ってか知らずかH様、毎回時事のスポーツネタで切り込んできて、
あらよっとツカミを攫って行きます。しかも、その内容もかなり濃くて、
時には玄人跣のコメントを添えてくることも。
氏の筆力もさることながら、アスリートでしかもふた回り下の読み手(筆者)
を退屈させないようにと、テーマ選びから構成まで細かいお心遣いが見え
隠れする。
H様、感服です。そして、いつもありがとうございます。
ただし、過度なタイガース擁護はご勘弁下さい。どう力説されたところで
マートンは戻ってきません。
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